西宮 便利屋 レンタル家族

「レンタル家族」なんて言い方で表現してしまうと、無機質で冷たい感じがどうしても否めないですよね・・・

『ヒロインズさん、1日だけ、二人の娘になってくれませんか?』

依頼電話はこの一言から始まりました。

依頼者のWさんは13年前に二人の娘さんを交通事故で失ったそうです。

娘さんのお誕生日がもうすぐということで、13年ぶりに家族揃って誕生パーティをしたいということでした。

電話の時点で姉妹の性格、趣味、特徴、好きな食べ物、口癖、服装、身長など聞けることは全て聞きました。

当日、訪問した瞬間から娘さんに成り切ろうと考えてました。

 

そして、先日お伺いしてきました。

インターホンをならすと『おかえり』と一言。

私たちはその一言だけで、涙を堪えるのに必死でした。

依頼者さん(以後お母さん)がドアを開けてくれた瞬間、2人とも強く抱きしめられました。

もう涙が止まりませんでした。

御飯を食べたり、お酒を飲んだり、ケーキを食べたり、昔の姉妹が映ってるホームビデオを鑑賞したり、時間が過ぎるのが早かった。

そして、遂に時間が来てしまいました。

18時〜22時の4時間の依頼を受けていたのですが、お母さんが『ねぇ、あなたたち泊まっていきなさい』とおっしゃいました。

お母さんは本当に楽しそうでした。

でもやっぱりどこか寂しそうでした。

私たちはお言葉に甘えて泊まる事にしました。

布団に入ると三人で恋愛の話をしました。

やっぱりお母さんですね、『彼氏は真面目な人にしなさいよ!』ですって。

キュンとしました。

夜中にトイレに行きたくなり寝室を出ると、リビングの電気がついていました。

お母さんが、テーブルでなにか書き物をしてるようでした。

邪魔しては悪いと思いもう一度眠りました。

朝、目が覚めると、凄くイイ匂いがしててリビングへ行くと美味しそうな朝食がずらり。

お母さん料理が本当にお上手でした。

朝食を終え、お別れの時間が来ました。

近くの駅まで車で送ってもらいました。

3人とも無言でした。

するとお母さんが何やら車の中から大きな紙袋を出してきて『はい、これ2人に』

中を見ると2人分のお弁当、そしてお手紙。

もう本当の家族でした。

深夜の書き物は私たちに手紙を書いてくれていたんです。

別れ際、駅で3人とも泣きながら抱きしめ合いました。

『また来てね。なんかあったら電話しなさいよ?』

お母さんとさよならして、電車の中で手紙を読みました。

 

電車の中でしたが、涙をこらえることができませんでした。

 

お母さん、また帰るからね。

卵焼き、ネギ入りだからね。

ありがとう、お母さん。

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便利屋ヒロインズ
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